日本における按摩の歴史
7.「福富草紙」嫗が夫の腰を踏む(足力)・「北斎漫画」・「東海道五十三次」歌川広重
按摩さん@浮世絵
絵画や造形に現れる按摩さんの姿を集めてみます。(協力:taironさん)
「福富草紙」嫗が夫の腰を踏む(足力)
ところで、「福富草紙」には何種類ものバージョンがあり、上記画像のように腰を踏んでいる絵がないものもあります。
同様なバージョンの「福富草紙」が早稲田大学図書館にありました。→「福富草紙」
そして。
東北大学のものより早稲田大学のものとほぼ同様な絵を用いた「音読・福富草子絵巻」というページを発見。
絵巻中文章の音読とテキスト化をしています。
有り難いです。
上図嫗右の文章
てことを踏むべきか。
如何ばかり踏み折られたるぞや、
おいゝゝ。
夫の上にある文章
あれは死ぬや。
良しなき女どもの、
物羨み、老の果てに、
かかる目を見つるかふうさよ。
左下で丼状のものを差し出している下の文章
これをまづ一啜り参れ。
「北斎漫画」
足力
- 「ミネアポリス美術館」
Random Sketches by Hokusai lより
- この「北斎漫画」や「守貞漫稿」 (1853)に「店ヲ開キテ客ヲ待チ、市街ヲ巡ラズ、足力ト號テ、手足ヲ以テ揉者ハ、上下揉百文也」とあるように、足力は江戸時代盛んに行われていたようです。
「北斎漫画」では左右2本の杖につかまりながら足力をしています。
杖につかまる手と足のカカト部分でバランスを取りながら、足の指先部分でも自由に揉める体の使い方が表現されているようであり、北斎のデッサン力には惚れ惚れしてしまいます。
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妊婦按腹
- 一見お産婆さんの絵かとも思いましたが、「按腹図解」の「孕婦按腹圖解」の図を思い出し、比較してみたら驚くほど酷似していました。
按腹図解・孕婦按腹圖解
東海道五十三次・歌川広重
- 歌川広重(1797-1858)。「東海道五十三次絵」1833。
東海道シリーズは20種類以上発表されたが、保永堂版が有名。
石部 No.52
- 「サンフランシスコ美術館」
Ishibe, no. 52 from a series of Fifty-three Stations of the Tokaido (Tokaido gojusantsugi)より
石部 Reisho Edition (~1850)
- 絵が小さくて判別出来ませんが、下肢に曲手(車手or突き手)を施している場面でしょうか。
興津 Tokaido by Two Brushes (1857)
庄野