操体法・実技入門


このテキストは、20数年前に操体法を教えていた際に使用していたテキストを、HP用に加筆修正したものをまた更に修正したものです。
(今後も修正していくかも知れません)

ここに収めたのは、当時教えを受けた操体法をベースに書いています。
現在の操体法は「気持ちよくうごく」をメインにしているのは共通していますが、各先生方により微妙にまたは大きく異なる技法になっている場合もあるようです。
読者の方々には、その点を加味して参考に出来るところは参考にしてほしいと思っています。

 



治療の前に

姿勢を正す

布団やベッドに寝てもらったり、あるいは座ってもらった際、患者さんの姿勢が不自然になっている時があります。

患者さん自身に違和感がなければ問題ないのですが、見ていてどうにも不自然で居心地悪そうにしている時は、一度姿勢を正してもらいます。

 

注意してほしいのは、「姿勢を正す」といっても「姿勢を真っ直ぐにする」という意味ではなくて、患者さん自身がくつろいで楽な姿勢だということです。

ほとんどの場合は何も言わなくても楽な姿勢をとってくれるので、ここで書くことは例外的に必要な時もある、程度に受け取ってください。

 

仰向けの時

軽くお尻を浮かせ、降ろしてもらいます。
または、「ゴソゴソ動いて楽な姿勢にしてみて」でもよいです。

 

 

うつ伏せの時

軽くおしりを持ち上げ、降ろしてもらいます。
仰向けの時と同様、「ゴソゴソ動いて楽な姿勢にしてみて」でもよいです。

 

 

座っている時

一度背筋を伸ばしてから、力を抜いてくつろいでもらいます。
こちらもまた、「ゴソゴソ動いて楽な姿勢に座り直してみて」でもよいです。

 

 

 

 

歪みのチェック

治療のはじめには、大まかに患者さんのからだの歪みをチェックしておきます。

この時、患者さんが不自然で居心地悪そうに感じたら、上の「姿勢を正す」のように自然で楽な姿勢を取り直してもらいましょう。

 

歪みのチェックは、治療前後の体の変化を把握する上で役に立つひとつのツールではありますが、「歪み」=「悪い(病気)」でないことだけは覚えておいてください。

ぼく自身は、歪みとはその人の癖やチャームポイントだと理解しています。

ですから、必ずしも歪みが真っ直ぐになったり、左右均等になったりしなくて良いと考えます。

 

実際、人の健康・不健康(病気)、幸せ・不幸せは、体の歪みの程度よりも体の質(凝りや張り、澱み、弾力など)により大きく左右されると感じています。

 

最初は体各部を左右比較して見ると分かりやすいと思います。

 

仰向け

例)足の開き                     例)足(つま先 or カカト)の長さ

      

 

上の例のように、最初は左右各部の角度や長さ、厚み、緊張度の違い等を比較するとよいと思います。

 

 

   ・足の開き

   ・つま先(カカト)の長さ

   ・骨盤のねじれや傾き

   ・胸の横幅、厚み、緊張度の左右差、ねじれ

   ・左右の肩の高さ

   ・腕のねじれ

   ・首の傾き、ねじれ

      ……etc

 

 

 

 

うつ伏せ

 

 

      ・足の開き

      ・つま先(カカト)の長さ

      ・お尻のねじれや傾き

      ・背骨のねじれや傾き

      ・背中の横幅、厚み、緊張度の左右差

      ・肩の高さ、幅の左右差

         ……etc