指もみメモ:操体法実技入門


 



指もみメモ

2010年4月27日

ぼくの治療では、相手の皮膚や皮下組織の感触が大きな意味を持ちます。
なぜなら、全身の皮膚は自己と外界を『隔てる場』でもありますが、自己と外界を『繋ぐ場』でもあるからです。

そういった場である皮膚や皮下組織の感触は、その人がどのように外界と接しているかが如実に現れます。
(というのはあくまで個人的な経験論です。一般化出来るものなのかはわかりません。)

指揉みをしている時、お互いの体がリズミカルに揺れているのですが、相手の皮膚や皮下組織の状況により、その揺れは微妙に(感覚的には大きく)異なります。
相手の指を掴んでいる指だけではなく、指を掴んでいるこちらの手や腕、体全身でその揺れの違いは感じられます。

皮膚や皮下組織が柔軟で生き生きとしている場合、揺れの波紋は身体外の空間に繊細に拡がります
逆に、皮膚や皮下組織に精気がなく弾力に乏しい場合、揺れの波紋は身体外には拡がらずに閉塞的な揺れになります。

いずれの場合でも、揺れやその波紋にこちらの感覚をチューニングしていきます。
波紋が身体外に拡がっていない場合は、その揺れの勢いの質に感覚をチューニングしていき、その感覚をより濃厚にしていきます。
波紋が身体外に拡がっている場合は、その波紋の感覚をより濃厚に感じ取りつつ、同時に揺れの質にもフォーカスを当てています。

指揉みが5本の指で終わった後は、相手の足先を包むように把握して、全身を相手の揺れるリズムに合わせて揺らしますが、この「揺らし」で身体各部の緊張、重さを把握。
その後、仰向けに寝たままで気持ちよく伸びをしてもらいます。

これだけで、先ほど「揺らし」を行った時よりも格段に体はゆるんでいます。

 

2010年4月28日
皮膚や皮下組織が柔軟で生き生きとしている場合、揺れの波紋は身体外の空間に繊細に拡がります。
逆に、皮膚や皮下組織に精気がなく弾力に乏しい場合、揺れの波紋は身体外には拡がらずに閉塞的な揺れになります。

上記の感覚を絵にすると、こんな感じ。

      


この波紋として感じられるものは、経験的に相手の「身体外への感覚の拡がり」また「感性の拡がり」のように感じています。
波紋が外側に拡がっていれば拡がるほど、感覚や感性は繊細に敏感になります。
ただ、中心が定まっていなかったり、体の重心が腰に落ちていない(地に足が着いていない、グラウンディングしていない状態)場合、感覚や感情、周囲の状況に翻弄されやすくなります。

また、波紋の拡がりが感じられない場合は、身体感覚が閉塞的で思考中心になりがちです。

これらの感触は特に指揉みをしなくとも、当然ながら体(皮膚)に触れた瞬間に感じます。