導引口訣鈔3
藕絲の訓
經脉に孫絡など云て、筋骨皮肉の間にたとへば藕絲絲瓜等の如く、縦横に筋あつて、氣血の通路也。
是閉結れ、万病を生す。
手に覚へ扱解を第一の習とす。
委本文に見えたり。
分肉解結の訓
肉の中に分理とて隙あり。
幾重にも分かるる也。
是を隊と云ふ。
譬へは蜜柑などの類をみるに皮肉核の中ち、皆分理あるが如く、又魚鳥の肉なとを割見へし、一片一片に分るるにて知るへし。
其の中に藕絲あり。
浮絡孫絡など云是也。
藕絲むすぼれ肉閉事あり。
内経に巻肉縮筋など云り。
其の肉を扱ひ療すること、結たる絲を解が如くわけさばくを分肉の術と云。
藕絲まとひ結れたるをとくは、毛氈蚕のまいなどを解か如する手法あり。
是れ解結の術也。
又経筋むすぼれよるる事有り。
元結などいく筋もつかね合せたる如く、堅まりたるは、指を其の間に入れ分る也。
又一筋づつ解くこともあり。
又動し散すやうにもする。
麻などを振とけば悉くさばくる心也。
或は前後左右、経肉の順逆に随ひくつろけ解可し。
爰に垣の一方を見ると云習あり。
胸腹の訓 附任脈
缺盆骨より手を當て、任脉通り璇璣、天突を越し左の腋下に至る。(數片摩つ)
乳の上膺窓の位より手を當て、膻中の上玉堂の位を越し摩て、左膺窓を越して摩つ。
右の肋食竇より手を當て、中庭を越し左肋食竇を越し摩つ。
肋下腹哀を越して肉を分る。
右の章門に手を當て、任脈通り中脘を越し章門を越し脊にまわる程摩て肉を分る。
右の帯脉より手を當て、水分を越し左の帯脉を摩越す。
五樞の位腰骨にかかり手を當て、天樞を越し左の五樞を摩越す。
腰骨の前、右の維道の所手をあて、臍の下氣海、石門、左の維道を越し膏肉腰眼摩す。
環跳より手をかけ、関元中極を越し左の居髎環跳を越し摩る。
横骨に所作有り。
或いは代るに腿骨輔骨を動かし、陰器をくつろぐるも良し。
任脉は一身の根本なり。
大食過飲何れも剛剤など多く用い、或いは幼少の時早く乳を離れし飯を多食するに依り任脉の筋弓の弦などの如くあらはるるなり。
根本の虚し邪氣の實するなり。
筋に指を掛け引すへし。
喉嚨より鳩尾横骨まで所作有り。
また煉金丹の術と云うあり。
後に見えたり。
究めて奇妙なり。
常に修すれば腹實強になりて萬病ことごとく治す。
修法本文の如し。
任脉腸胃を扱うに縦に掛け横にも掛け、下よりも上よりも掛け、すぢかいにも掛ける。
實症は腹わきへ張り出つるなり。
故に任脉を左右に分け、兩傍へはり出だすやうに扱うへし。
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